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技能教育あれこれ − 講師雑感 −
大手エンジニアリング会社で技能教育に長年係わっていらした
管理者の方からのご寄稿です。

事例その1

三十年ほど前、公害に関する法律が制定されてからは大気や水中の微量汚染物質を表す単位としてPPmやr/l(リットル)が一般社会にも登場した。その頃、役所の青年に×Ppm以下でなければいけない。その理由はこうだ。処理法云々とPPmを連発したら怒り出して、一言。「英語なんか使うな。日本語で喋れ」。

 一瞬慌てたが、ふと野球を想いだし、「日本語でも言い方はある。三割打者とは十本のうち三本打つことだ。一より小さい数を表すのは、分(10の−1乗)、厘(−2乗)、毛(−3乗)、糸(−4乗)、忽(−5乗)、微(−6乗)、繊(−7乗)、沙(−8乗)といい、10PPmとは百分の十だから10微ということになる」。

  …こういうことを述べる時は最大限の明るい雰囲気で応じた。相手のプライドを少なからず傷つけたのだから…。

 数ヶ月して彼の御仁から電話があり、「いやあ、お陰で理解を深め、維持管理が楽しくなった」と報告されたのであった。 

事例その2

ボイラ技師30名ほどの講習会で「水処理と事故防止」を二時間やったときの話。

  その日は台風で大雨だった。ガラスまでを叩き付ける豪雨に全員心を奪われ、時々悪いと思ってこちらに眼を移す。

  そこで「凄い雨ですねー。予報では180_降るそうですよ。日本の年間平均降雨量は1b80a位だから、今日は年間の十分の一降るわけだ。三重、四国、富山などの一部は4b、インド・アッサム地方は10b位、サウジは少ない2a位」。

  もう窓外に眼を移す人はいない。それからどうしました、と興味・好奇心を示す。日本の水、世界の水から始まって講習会は流れるように終了した。冒頭数分のロスタイムには、視野が広がったと喜ばれたけれど…。

縁の下の力持ち
-技能教育経歴から-

私の会社は主に地方自治体へ納品した環境装置のアフーターサービスを行っているのだが、客先からごみ焼却廃熱を利用した発電用ボイラの水処理や使用する薬剤の取り扱い、施設の酸欠問題など安全衛生を含めた講習会要請に応じている。また安全週間の催しとして可燃性ガスの爆発公開実験、過剰酸素中における急速燃焼の公開実験を数多く手がけてきた。

  業務の傍ら労務安全衛生協会の溶接委員として、二十年来、月一回の講師を続け、またテキストの改善・改定にも参加している。

 さて、ここで講師たる者の自戒をまとめてみると、

  @専門的な技能と知識を与えることが柱。
A受講生の顔を見て喋る。(話はいきている)
B聴く側に立って話す。(二十歳から五十歳の受講生がいるのだ)
Cそれからどうした、と耳を傾ける「話しの魅力」を示すこと。
D人が勉強するのは切羽詰まった時と、興味(好奇心)をもった時である。 後者へ誘導しよう。

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